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2017年  都立チャレンジ高校受験を振り返って [受験]

今年は都立チャレンジ高校への受験生は1人でしたが、例年と同じように、生徒と保護者の了解を得て記事にすることにしました。

東京都教育委員会のホームページによると、平成29年度の合格者の内訳は以下のようになっていました。
チャレンジ高校は、男子に比べて女子の合格率が高かった時代が長く続いていましたが、ここ数年はその差が少なくなってきているという印象があります。特に、女子の合格率が圧倒的に高かった六本木高校で、今年はその差がさらに縮まっています(昨年の合格率は男41、女104でした)。
チャレンジ高校の合否を決めるのは面接で、その点で男子より言語能力が勝っている女子の方が有利だと考えていたのですが、その力のある男子が受験するようになったか、定かではありません。

学校名   募集人員      受検人員           合格人員
   
六本木高校  140   男115  女151    計266  男58   女87    計145
大江戸高校  140    男160   女132   計292   男59   女 87  計146
世田谷泉高校 170     男120   女129  計 249   男82  女102  計184
稔ヶ丘高校  200    男191   女134   計 325  男103  女104  計207
桐ヶ丘高校  140    男89    女 90   計179   男70   女 75   計145


家庭塾からは、M君が倍率の高いA高校を志望し、午前部と午後部だけで、夜間部は希望せずに願書を提出しました。

まずは、受験直前の23日に、M君のお母さんとアンがやりとりしたメールから紹介させていただきたいと思います。

アンからM君のお母さんへのメール――明日はいよいよ受験ですね。M君は今までの生徒の中で最もやる気とエネルギーのある生徒でした。国語力もあったので、私も苦労しませんでした。短期間でしたが、やるべきことはやりきったと思っています。合格出来ると思っていますが、試験は水もの、面接官との相性もありますので、絶対とは言い切れません。ご了承いただければと思います。
よい知らせを期待しています。

M君のお母さんからアンへのメール――ご連絡ありがとうございます。いよいよ明日、私の方が緊張してしまって。
12月、学校の先生から難しいと言われ、すがる気持ちで入塾しましたが……お陰様で本人もやる気と自信がつき明日にのぞめると思います!合格出来ればMも初めて達成感が得られるかなと思います。ダメでもやるだけの事はやったので悔いはありません。ご丁寧なご指導本当にありがとうございました。
3月2日笑顔で良いご報告ができるように 後は神頼みです。


そして、試験当日、M君自身からメールが届きました。

M君からのアンへのメール――無事に終わりました。ありがとうございました。作文も予想通りの問題でさらさら書けました。

アンからM君へのメールーーお疲れさまでした。手応えはあったようですね。いい知らせを待っています。

そして、アンの計画では、この後に続けて、M君が合格したことを書くつもりでした。ところが、シナリオ通りにはいきませんでした。M君は不合格でした。


発表当日、M君とお母さんが報告と挨拶をかねて見えたのですが、「残念だった」という言葉より、「納得できない」という気持ちの方が強くて、M君、お母さん、アンの三人で「納得出来ない」と何度も言い合い、腹立たしい気持ちでいっぱいになりました。

そういう気持ちにさせられたのは、面接官3人のうち2人の質問内容を聞いてからです。

チャレンジ高校の面接は一般の高校とは違い、ありきたりの質問ではなくかなり突っ込んでしつこく質問されたり、建前だけの答え方では通用しなかったり、「この学校を落ちたらどうするつもりですか」のようないじわるな質問をされることがあります。
そのため、アンも面接の練習をする時には、思いつくかぎりのいじわるな質問をして、生徒にそういう質問にも慣れてもらうようにしていました。

ところが、M君が質問された内容はいじわるを通り越して、悪意さえ感じられるものでした。

M君は不登校ではなく、学力不振の元気いっぱいの生徒でした。中学校では授業中に勉強がわからないので、隣の子に話かけて先生から注意されたり、友達同士では意見の相違から対立することもあったようです。
面接官は、不登校ではないのに、なぜチャレンジ高校を受験したのか、勉強が苦手でこの先やっていけると思うのか、これまで勉強で頑張れなかった君が、将来なりたいものがあるからといってそれに向かって努力出来ると思うのかなど、勉強についての内容がほとんどだったといいます。
友達関係についての質問も、M君のマイナス面を引き出すための誘導尋問のような印象を受けました。

M君に面接内容を聞けば聞くほど、面接官3人の先生のうちの2人が、M君のことを合格させたくない気持ちが感じ取れました。
面接官の求める生徒は、見るからにおとなしそうな不登校の生徒で、勉強もそれほど苦手ではなく、不登校で勉強が遅れているものの元々は出来る生徒なのだと思いました。
逆にいえば、勉強が苦手で授業中に他の生徒の迷惑にもなりかねないM君、元気がありすぎて、自分の思っていることを臆せず口に出したり、行動出来たりするM君は、不登校のおとなしい生徒達を脅かす存在にもなりかねないと判断されたのかもしれません。

このことは、M君の面接官に限らず、少しでも勉強の出来る生徒を取りたいという最近のチャレンジ高校側の思惑が働いている気がします(アンなりの見解で、当たっているかどうかはわかりませんが…)。
これまでの家庭塾の生徒を振り返ってみても、不合格になる生徒は、不登校であるないにかかわらず、学力不振の生徒(学習障害を含む)がほとんどだったからです。担任の先生からは、M君はチャレンジ高校ではなく、エンカレッジ高校を勧められたと言っていました。


M君の結果については納得出来ていないので、以下にアンが認めているM君のいいところを書いてみたいと思います。

お母さんからのメールにあるように、M君が家庭塾に来たのは12月中旬でした。この頃は、途中でチャレンジ高校の受験を断念した生徒も来ていたのですが、やる気があったので、10月から来ていた生徒にすぐに追いついてしまう勢いでした。
一番感心したのは、最初から受験が他人事ではなく、自分事になっていたことです。
一般的には、12月になれば焦ってやり出すのが当然と考えれがちですが、そうでない生徒の方が多いです。回数もこの時期からなら週に1回では足りない(特に学力不振の生徒)のですが、それ以上来ることには大部分が消極的でしたが、M君はやる気満々という感じでした。チャレンジ高校の作文は論理性が求められるので、そこを重点的にやると、説得力のある文章が書けるようになり、本人も自信がついたようです。

都立の普通高校の推薦入試が始まる前には、クラスメートの面接練習が甘すぎると私に感想を言ったり(推薦では不合格になった生徒が多かったそうで、面接で答えられない質問が多かったとのことでした)、推薦入試の作文の問題も友達から借りてコピーして持って来てやってみたり、とにかく前向きでした。
志望校の倍率もチェックしていて、発表されるとすぐにアンにメールをしてきました。

中学に入学してからは家で勉強したことはないと言っていたM君ですが、チャレンジ高校の受験については最初から最後まで本当によく頑張りました。
こんなM君の頑張りが、面接官に伝わらなかったのは悔しいかぎりです。

最後になりますが、M君は現在、芸術分野で優れた才能を発揮しています。
夢ではなく、将来、それで身を立てていく道も拓かれています。そこが一番のM君のアピールポイントであり、魅力だったのですが、面接ではそこに触れられることはなかったといいます。

反省点といえば、M君が自信を持ちすぎて、謙虚さが足りなくなっていた部分があったかもしれないということです。自信はないけど、ひた向きに一生懸命臨む姿が評価されるからです。
そうだとしたら、それはアンの責任だと思っています。

今はまだ納得できないと思いますが、この初めての挫折をバネに、滑り止めで合格していた高校で、勉強についても頑張ってほしいと思います。





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2017年チャレンジ高校の願書提出日によせて [受験]


昨日が都立高校の願書提出の2日目で、都立チャレンジ高校の応募倍率も昨日には東京都教育委員会のホームページに掲載されていました。2、3年前までは朝日新聞にも他の都立高校といっしょに掲載されていて、願書提出日の翌日には真っ先にそれを確認したものでした。けれど、今年も新聞されていなかったので、なぜそこに紙面を割けないのかと疑問に感じています。今はネットで簡単に検索できるので必要ないと思われているのかもしれませんが、活字で読むのが好きなアンにはちょっと不満です。(他紙に掲載されているかどうかはわかりませんが…)

2017年度の都立チャレンジ高校の倍率は

                  募集人員   男    女    計
六本木高校2.01倍(1.54倍)     140   126   155   281 

大江戸高校2.17倍(2.12倍)     140   165   139   304 

世田谷泉高校1.53倍(1.31倍)    170   126   134   260

稔ヶ丘高校1.68倍(1.49倍)     200   198   138   336

桐ヶ丘高校1.31倍(1.39倍)     140   90    93   183


中学校側の指導が年々、安全志向を強めているなかで、今年は昨年より倍率が下がると思っていたのですが、逆に倍率は上がっていて、中でも六本木高校が倍率を伸ばしていました。また、以前に比べると、男子の応募者数が増え、稔ヶ丘高校では女子をかなり上回っています。
不登校、学力不振の生徒のいずれの場合も、中学に入学してから勉強が全くわからなくなって、授業についていけなくなった生徒に対しては、中学の先生もチャレンジ高校の受験を勧めないケースもあるので、受かりそうな生徒だけが受験する可能性が高くなり、倍率が高くないチャレンジ高校でも楽に入れるというものでもないかもしれません。希望すればほぼ全員が合格できる通信制サポート高校との違いは明らかです。


アンの家庭塾からは、今年は一人、倍率の高いA高校を受験します。もう一人、10月から12月まで週に1度通って来た生徒がいたのですが、自分の好きなことが学べる私立の学校に合格し、チャレンジ高校には願書を提出するに至りませんでした。進路決定までは、家庭の事情もあり、ご両親もかなり悩まれたようですが、向かない勉強をするよりも、本人がやりたい道に進む方が本人のためになると判断されたようです。アンもそれで良かったのではないかと思っています。

ところで、今回に限らず、勉強に向かない生徒(勉強に対して苦手意識、または拒否反応が強い)というのは、これまでアンが関わった生徒の中でも、少なく見積もって3分の1程度はいたと思います。どうしたらチャレンジ高校に合格してもらえるか、指導に悩んだ生徒です。

先日、「受験に欠かせない力をきたえよう」――日本語力と身体感覚――という齋藤孝さんの公開講座が4月に都内であるという広告を目にしました。まだ話を聞いたわけではありませんが、その通りだと思います。
日本人なら、日本語は誰でもわかるというわけではないと生徒と接していて実感しています。
実際のところ、この日本語力が低いと、学校の授業もついていけないし、チャレンジ高校に合格するにも苦戦を強いられると思っています。
チャレンジ高校の受験をやめた生徒には、最初の1か月位は、志願申告書や作文の練習ではなく、出口汪さんの「日本語トレーニング」という教材を使って勉強しました。
まず、ここから始めないとチャレンジ高校に必要な作文を書く力も、かなり突っ込んで質問される面接にも対応できないと思ったからです。
けれど、日本語力のない生徒にこの力をつけるのは、相当な期間が必要です。
アンの家庭塾には、受験間近になって来る生徒が多いのですが、チャレンジ高校の受験を希望する生徒で、この力が足りないと思われる生徒には、出来るだけ早く通って来てほしいというのが、アンの正直な気持ちです。
また、日本語力がつけば、学校の授業もわかるようになると思いますが、そのためには生徒自身のやる気がどうしても必要なので、勉強が苦手な生徒にとっては楽ではないと思います。

最後になりますが、12月から通って来ている生徒は、勉強(特に数学と英語)には苦手意識をもっていて、家で勉強したことはほとんどないとのことでしたが、日本語力とやる気があるので、順調に進んでいます。(昨年は、この時期、毎晩のようにファックス指導もしていましたが、今年はその必要もなく、また受験生が1人なので余計にそう感じられるのかもしれません。)

それでも、倍率の高い高校だし、午前部と午後部しか希望していないので、その分だけ競争率は上がるので、残りの2週間、気を抜かずに生徒とともに頑張りたいと思っています。



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2016年  都立チャレンジ高校受験を振り返って(1) [受験]

今年もまた、生徒たちがチャレンジ高校合格に向けて頑張った記録を、生徒や保護者の了解を得てブログに記しておきたいと思います。

なお、東京都教育委員会のホームページに記載されている平成28年度の都立チャレンジ高校の合格者の内訳は以下のようになっています。
今年の傾向としては、全般的に女子が男子の合格率をはるかに上回っていた昨今と比較すると、その差が緩やかになってきています。六本木高校は相変わらず女子の比率が高いですが、男子69名の受検者に対して、41名が合格しているのは注目すべきことだと思います。また、昨年は、稔ヶ丘高校が男子の合格数が女子をわずかに上回っていましたが、今年はそれがさらに顕著に表れています。
こうした変化がなぜ起こるのか、偶然なのか、それとも高校の方針が入っているのか知りたいところです。

受検人員         合格人員
                  
六本木高校   募集人員140   男69  女138  計207  男41  女104  計145
大江戸高校   募集人員140  男137 女147  計284  男61  女 85  計146
世田谷泉高校 募集人員170 男106 女103 計209  男88  女 90  計178
稔ヶ丘高校  募集人員200   男181 女107 計289  男120  女87  計207
桐ヶ丘高校  募集人員140   男 86 女 99  計185  男 55 女90  計145


今年、家庭塾からチャレンジ高校を受験した生徒は男子2名、女子1名で、志望校はA高校とB高校でした。最初に結果から書きますが、合格したのは1人だけで、あとの2人は不合格でした。
チャレンジ高校の受験生を中心に指導してきたアンは、これまで合格実績には重きを置かずに、生徒が精一杯、努力して出した結果を受け止めてきました。けれど、生徒はもちろんのこと、保護者にとっても合格することが一番の望みであることは間違いないことなので、今回の結果を真摯に受け止めたいと思っています。

例年、家庭塾に通って来る生徒は、志望するチャレンジ高校が第一志望の高校で、まれには滑り止めの通信制サポート高校を受けている生徒もいましたが、大半は一発勝負の受験でした。今回の生徒3人もチャレンジ高校1本の生徒でしたが、前々回のブログに書いたように、今回ほど苦戦を強いられた受験はかつてなく、アン自身も家族にもしばしば弱音を吐いていたのも事実です。
受験間近の1月下旬になっても合格の手応えが感じられなかったこと、生徒2人が一番倍率の高いA高校を希望していたこと、1部と2部だけで3部を願書に書いていなかったため、さらに合格の可能性が低くなる、などが理由でした。けれど、昨年、A高校に合格した2人も受験した高校はA高校のみ、3部を希望しなかったことも同じだったので、為せば成るという気持ちで臨んだ受験でした。

不合格後の生徒の進学先についても、今回ほど真剣に考えたことはありませんでした。通信制高校の合同説明会に行って、個別で説明を受けた学校はあるものの、東京では実際に足を運んで、チェックした学校はなかったからです。
学力不振もカバー出来ると言われている通信制サポート高校は、生徒にとっていい高校であったとしても、授業料が割高であるという点も気になっていました。

あれこれ考えているよりまずは行動と思い、3校だけですが、実際に学校に出向いて、いろいろ話を聞かせていただきました。
今回のマイナスの経験をプラスに変えていくことが、アンの新たな課題になったからです。


前置きが長くなってしまいましたが、以下に、今年の3人の受験生について書いていきます。ブログを読んでくださる方々が、合格した生徒だけを評価するのではなく、自分なりに努力したけれど、結果が伴わなかった生徒についても認めてくださると有難いです。


A高校に不合格になり私立の通信制サポート高校に進学するIちゃん
Iちゃんは約1年前から家庭塾に通って来ていました。
通っていた私立中学で不登校になったのですが、理由は勉強でした。一般的に、私立の中学や高校では、説明会ではきめ細かい指導をするとか、面倒見のよい学校だと言いながら、入学した途端に、手のひらを返したように、勉強が苦手な生徒を排除する傾向があります。学校の姿勢がそうだと、生徒もそれを真似てその子をいじめるようになりますが、Iちゃんはまさにそのケースだったようです。

初めてIちゃんがお母さんと共に家庭塾にやって来た日、Iちゃんの顔がこわばっていたので、乗り気ではないことがすぐにわかりました。
苦手な勉強をまたやらなければならないと思ったのでしょう。
それでも、アンと話しているうちに次第に表情が柔らかくなってきて、その場で入塾が決まりました。

チャレンジ高校への進学は考えていたものの、志望校は絞れていなかったので、7月の学校見学や個別面談が終わるまでは、英語の勉強をやったり、楽しんで通い始めた区の適応教室の宿題をやったり、文章の書き方を学んでもらうために、聞き書きで自分史をやったりしていました。
ただ、英語の勉強については、やり始めた途端、拒否反応が表れて、「アン先生の所に来るのは楽しいけど、英語をする時はものすごくイヤ」と本人も口にするほどでした。それでも高校に入ってから困らないように、重要な動詞だけでも覚えてもらいたいと思い、ごく少量の宿題を出したりしたのですが、上手くいきませんでした。


Iちゃんは、好奇心が旺盛な、感性が豊かなやさしい子で、人が良すぎるためにつけ入られて、大変な思いをすることがあったようですが、とにかく性格のいい子でした。それは財産だと、アンは思っていました。
Iちゃんの希望で、一度だけ夕食を一緒に作って食べたことがあったのですが、料理が得意というだけあって、アンが指示をしなくても、実に手際よく動いていました。家の手伝いなどしない子が多い中で、Iちゃんはお母さんの手伝いもよくしていたようです。手芸も得意でした。
おしゃべりが好きというだけあって、目をキラキラさせて話す姿も印象的でした。

志望校がほぼ決まった10月あたりから、本格的な受験体制に入っていきました。Iちゃんが志望したA高校はチャレンジ高校の中では合格するのが一番難しい学校で、適応教室の先生からは3部を勧められたという話もお母さんから聞いてはいましたが、Iちゃん自身が気に入った高校でなければ頑張れないと思ったので、別のチャレンジ高校を提案する気にはなれませんでした。

チャレンジ高校受験の第一歩は、作文ではなく、志願申告書の作成から始まります。それに基づいて面接も行われるし、作文のベースになるものなので、毎年、かなりの時間をかけてやっています。学校案内のパンフレットをそのまま写したようなものや、普段、生徒が使わないような「貴校」という言葉も使いません。また、市販のノウハウ本に書いてあるような模範的な文章も書かないようにしています。生徒が思ってもいないきれい事や高度な文章を書いても、面接で聞かれた時に上手く答えられないし、嘘は見抜かれてしまうと思っているからです。(元々、言語能力の高い生徒や、演じきれる生徒は合格すると思いますが、そういう生徒は家庭塾にはほとんど来ません。能力のあるなしにかかわらず、幼なさが残っている生徒が大部分です)

志願申告書が書き上がると、次はそれをベースにした作文を一つ仕上げ、その後は応用へと進んでいきます。最初に書いた作文が土台になるので、何度も何度も書いて、見ないでも書けるようにならなければなりません。
ところが、この段階をIちゃんは上手くクリアすることが出来ませんでした。自分のことを自分の言葉でわかりやすく書いたものなので覚えやすいと思うのですが、漢字や英単語を覚えるのが苦手なIちゃんにとっては、同じように困難に感じられたようです。
耳からなら入っていくかと思い、5行単位でアンと交互に読んでみたり、最初の5行だけを授業中に何度も何度も書いてもらったりもしました。
それでもなかなか定着しなかったので、1月も下旬になってくると、アンも内心焦ってきて、家庭教師をしていた時にしかやらなかったファックス指導を、ボランティアで取り入れることにしました。

最初こそ抵抗を示していたIちゃんでしたが、志望校に合格したい気持ちの方が勝っていたので、それからは受験直前まで毎日ファックスを送ってくるようになりました。土台となる作文を自分のものにした後は、志望校だけでなく、他のチャレンジ高校の過去の作文問題へと進んだのですが、次の課題をファックスで催促してくるほど頑張っていました。
適応教室にも休まずに毎日通い、受験終盤になると家庭塾にも片道1時間かかる距離を週2回通って来ていたので、眠い、眠いとよく口にしていました。
ファックスも毎日送ってくるように強制したわけではないのですが、例外を作らず、ほぼ毎日送ってきました。
面接については見た目の好感度もよく、過去の面接問題についてもそれなりに答えられるようになっていたので、手応えは感じられました。
ただ、面接で失敗するとしたら、予期しない質問に対して全く答えられなかったり、質問の意図がわからず、ちぐはぐな答えをしてしまう可能性はあり得るとは思っていました。


全く見えてこなかった合格がやっと見えてきたのは、志願申告書の提出日あたりだったと記憶しています。
それでも、合格の確率は上手くいって7割、悪くて6割程度だと思っていましたが、去年の生徒もそうだったので、何とか受かってくれるのではないかと期待していました。

上記に書いた通り、結果は不合格でした。Iちゃんは大泣きしたそうです。
それは自分が頑張ったという自覚があったからこそ出る尊い涙だと思います。

Iちゃんにとっても、Iちゃんのご両親にとっても不本意な悲しい結果だとは十分に理解しつつ、それでもアンは、Iちゃんの努力を認めたいと思っています。
そして、何よりもIちゃん自身が頑張った自分を肯定出来るようになってほしいと願っています。

入学予定の高校にはアンも面談を申し込み、話を聞いてきましたが、Iちゃんの良さを認め、個性を伸ばしてくれそうな学校で、Iちゃんには合っているように思いました。


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2016年 都立チャレンジ高校受験を振り返って(2) [受験]

B高校に合格したK君

K君は11月初旬から通い始めた不登校の生徒でした。3年前のほぼ同じ時期に家庭塾に通って来てB高校に合格した生徒の弟でした。K君もお姉ちゃんと同じB高校志望でしたが、志望の理由はその学校に憧れの部活があり、そこに入りたかったからです。
お姉ちゃんに友達が沢山でき、楽しい高校生活を送っていたことも無関係ではなかったかと思います。

志望校も決まっていたし、時期も時期だったので、すぐに志願申告書の作成に取りかかりました。受験を振り返って(1)に書いたIちゃんと同様に、勉強には苦手意識をもっていて、暗記が不得手、特に漢字と英単語を覚えるのには相当な困難を感じているようでした。

指導を始めてすぐに、もっと早い時期から来てほしかったというのがアンの正直な感想でした。K君とお姉ちゃんでは全くタイプが違っていたからです。
お姉ちゃんはもともと書くことが好きで、言語能力もあったので、指導当初から手応えがありました。さらに、本人がアンのブログを読んで、お母さんより先に、自分でアンに問い合せの電話をかけてくるほど積極的であったことも評価出来ることでした。書く力だけでなく読む力もある、家庭塾に通って来なくても合格するタイプの生徒だと判断出来ました。
ただ、精神的に弱い面が多々見受けられたので、通って来るだけでも本人の安心につながったのかもしれません。

一方のK君は、何を聞いても答えられずに、毎回、一緒について来たお母さんが、K君の気持ちや考えを代弁して授業が進んでいくという感じでした。こういう例はこれまでもよくあることだったのですが、短期間で合格までもっていくとなると、そう簡単なものではありません。
もちろん、アンも志願申告書に沿ってK君に合いそうな言葉を提案していくのですが、それに対してもわからないのか、納得できないのか定かではありませんでしたが、返答がなく、授業がなかなか進んでいきませんでした。
そこで5秒ルールを作り、5秒以内に答えてもらうようにしました。
教科の学習とは違い、自由度はかなり高いので、抵抗感は少ないと思ったのですが、それでも集中力が続かなかったため、何度か休憩を入れるようにしていました。

K君も、アンが気を使う必要のない、穏やかないい子で、他人のことを悪く言わないことや、自分のことも相手のことも客観的に見られる点が長所だと思いました。まだ学校に通っていた中学1年の時に、成績表を見て、「この成績では普通の高校は無理。チャレンジ高校だな」と自分で判断したそうですが、それにはアンも感心してしまいました。

Iちゃん同様、K君にもファックス指導は必要でした。最初は土台になる作文を見ながら書くことから始め、少しずつ見ないで書いたものを送ってもらうようにしました。無理、無理と言っていたのですが、毎日続けているうちに書けるようになりました。
B高校は、毎年、オーソドックスな作文課題が出るので、A高校ほどいろいろな問題をやらなくてもいいと思ったのですが、やっておいた方が安心なので、K君にもいろいろな課題を出しました。

最初はほとんど自分の意見を言わなかったK君ですが、年が明けて1人で来るようになった辺りから、随分しっかりしてきました。
それは面接の練習の時にも表れて、面接については大丈夫だと思えるほどになっていました。言葉がすらすらと出るようになったわけでもなく、説明が上手になったわけでもないのですが、面接官にストレートに伝わるものがあると思ったからです。
それは教えられるものではなく、K君の内面から出て来たものでした。
不登校になってしまったことを、「逃げ」だったとしっかりと認め、反省している点が姿勢に表れたのかもしれません。
自信がついたのか、受験間近になると、「試験が楽しみ」とまで口にするようになっていました。

A高校の作文課題も予想外のものでしたが、B高校も例年とは異なっていました。
後に、K君は、いろいろ問題をやったから書けたと話してくれました。

Iちゃんも、次に書くU君も実力は同じだったはずなのに、K君だけが受かったのは倍率に関係があったと思っています。

高校に入学したら、念願の部活に入り、今回繰り返しやって出来るようになった経験を、一回限りのものにしないで勉強にも活かしていってほしいと思っています。



A高校に不合格になり、私立の通信制サポート高校に進学するU君

U君は11月下旬近くになってから通い始めた生徒でした。体調が悪くて学校を休む時期が多かったものの、通常は学校にも楽しく通っていたごく普通の生徒でした。それだけにU君自身もチャレンジ高校ではなく、普通の高校に進学したい気持ちが強かったようですが、休んでいた期間に勉強がわからなくなり、内申点が基準に達していなかったため断念せざるを得なかったということでした。
最初に見学した高校がU君に合わなかったのは事実でしたが、U君にはA高校の方が合っていると勧めたのはアンでした。

見学した中では、A高校が一番普通の高校に近いという印象を受けて、U君もA高校を目指すことになりました。この時期からA高校を目指すのは、大変だということも伝えましたが、A君の意思は変わりませんでした。

志願申告書の作成は、U君もK君同様、一緒について見えたお母さんの力が必要でした。今回の3人に共通していたのは、自分の意見を言葉に出して表現する力が弱いことでした。
ただ、U君が勉強は嫌いではなく、授業中に先生の話を聞いていれば理解出来ると言っていたのは強みだと思いました。
体調面が大きく関係していたとは思いますが、30分もすると疲れるらしく、そうなると頭も全く働かなくなるので、中断することがよくありました。

U君にもファックス指導が必要だったことは言うまでもありません。
ファックスを送ってくることに一番抵抗を示したのは、U君だったかもしれません。
そんなことはしないでも土台の作文はすぐ覚えられるし、それ以上に面倒臭いと思ったのでしょう。
U君の方が折れて、結局送ってくるようになったのですが、アンが示す枚数よりも、少な目の枚数を言ってくるので、それについては却下していました。
最初の頃は、夜遅くに送ってきていたのですが、受験が近づいた頃には、早目に送って来るようになり、やる気のスイッチが入ったと思いました。

作文よりも、心配だったのは面接です。
A高校に合格したいという気持ちが外側に出てこず、質問に対する答えも芯が通っていない感じが拭えなかったからです。そこを直そうとすると強制が入ってしまうので、U君の性格からすると逆効果だと思い出来ませんでした。それでも、実際の面接で聞かれるであろうことは繰り返しやり、その部分は何とかクリアしたのですが、最後までもの足りない気持ちが残っていました。
その点については、自分の意見をもっているかの問題にもなってくるし、もっていたとしてもそれを表現する力も望まれるわけですから、短期間の、しかも週に1~2度の指導では無理だったと言わざるをえません。

後でA高校の作文課題を見せてもらった時に、前の記事のIちゃんやU君には歯が立たない問題だとわかりました。作文以前に、課題文についての読解力が必要であり、土台になる作文にとどまらずに、文章の構成も自分で考えなければならない問題だったからです。
A高校に合格するためには、今後は文章を読む練習から始めなければならないと思ったほどです。さらに、言語能力や臨機応変に考えられる能力も求められていると感じました。

不合格になってからも、U君は都立の通信制高校の後期試験に挑戦しました。内申書も必要で、3教科と面接の試験があり、倍率も2倍程度でした。
そのために、再び、自己PR書の作成や面接のために、2、3回ほどでしたが、アンの所に通って来ました。
アンもその学校のパンフレットを丹念に読み、ホームページでさらに詳しい内容まで把握することに努めました。

数学はまあまあだと言っていたので、少しでも点数を上げるために、過去問を使って、国語の文章の読み方もポイント指導でやりました。
通常は、簡単に理解出来るものではないのですが、U君はその場で理解し、一問だけですが、全部正解だったことには驚かされました。
自宅でも、自分なりに過去問を解いたり、漢字や英単語も覚えていたと、お母さんからは聞いています。
結果は不合格でした。

U君は自然体の、穏やかな性格で、小学校の頃からU君の周りにはいつも友達が集まって来ていたといいます。見た目も背が高く、俗にいうところのイケメンなのですが、U君自身は全く気づいていないところがステキだと思いました。
面倒くさがらずにやる気さえ出せば、色々なことが出来ると思うのに、力を出し惜しみしているのはもったいない気がしました。

ところが今回は、合格するのが簡単ではないA高校にチャレンジして、毎日作文を書き、さらには科目受験の通信制高校の試験にも挑戦したのですから、偉かったと思います。
U君自身も力を尽くしたので悔いはないと言っていて、次は大学受験に向けて頑張ると決意を新たにしたようです。
進学先の高校でトップを取るように、アンも背中を押しました。
お母さんもU君の頑張りは認めていて、逞しくなったとおっしゃっていました。


岡本真夜の歌の歌詞、「涙の数だけ強くなれるよ」のように、挫折を乗り越えて、もっと大きな何かをつかんでほしいと思っています。


最後になりますが、今回の生徒は3人共、アンの授業を休んだことは一度もありませんでした。
それは、高校でも通い続けられることにつながっていきます。
生徒だけでなく、生徒と共に頑張ったお母さん方の労もねぎらいたいと思います。
お疲かれさまでした。


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2016年度チャレンジ高校の願書提出日に寄せて [受験]

新年のご挨拶どころか、寒中お見舞いの時期もすでに過ぎてしまい、今年に入って初めてのブログ更新になりますが、今年もまたよろしくお願いします。


都立チャレンジ高校の願書提出が締め切られた2月5日夜には、東京都教育委員会のホームページに早々と応募倍率が掲載されていました。

2016年度の都立チャレンジ高校の倍率は

                              募集人員      男     女        計
六本木高校 1.54倍(1.70倍)   140名    72名   144名  216名
大江戸高校 2.12倍(2.13倍)   140名   144名   153名  297名
世田谷泉高校1.31倍(1.48倍)  170名   113名   110名  223名
稔ヶ丘高校 1.49倍(1.45倍)   200名   187名   111名  298名
桐ヶ丘高校 1.39倍(1.79倍)   140名    91名   104名 195名

※(    )内は昨年度


ここ数年の傾向を見てみると、六本木高校は相変わらず女子に人気があり、稔ヶ丘高校は男子と女子の応募人員がほぼ同数だったのが、今年初めて男子が女子を大きく上回っていました。稔ヶ丘高校は静かで落ち着いた感じのする高校だったのですが、文化祭を見た感じでは、年毎に活発になってきている印象があるので、その影響もあるのかもしれません。六本木高校、大江戸高校は共に人気のある高校ですが、倍率を見る限りでは六本木高校が他の3校に近い倍率になったのに対し、大江戸高校は以前より倍率が下がっているとはいえ、2倍を超えているので、合格するためにはそれなりの努力が求められると思っています。

アンの家庭塾からは、今年は3人の受験生がA高校、B高校を受験します。
チャレンジ高校受験に限っていえば、受験生が3人というのはアンにとってそれほど大変なことではないと思っていましたが、これまでになく苦戦していました。11月中旬から指導を開始した生徒が2人いたことも多少は関係していましたが、3月から家庭塾に来ていた生徒も含めて、やる気のスイッチが入らなかったからです。


毎年、指導開始から受験日までの日数を考え、合格してもらうためにアンなりの戦略を考えるのですが、それが上手く機能せずに、1月の終わりまで来て内心焦っていました。
例年だと、12月中には基礎になる作文を完成させ、それをしっかりと自分のものにして、正月明けの1月からは応用へと進むのですが、今回は基礎の作文すらおぼつかない状況だったからです。
加えて、3人共、滑り止めの高校を受験しないこともプレッシャーになっていました。(実際のところ、アン自身も滑り止めの高校を受験することを、積極的に勧めているわけではありませんが…)


仕方なくというと語弊があるかもしれませんが(その部分はボランティア指導になるので)、やる気がイマイチへの対処法として、ファックス指導を1月の下旬から取り入れることにしました。作文の宿題を出しても、何となくやってくるだけで身についていないので、やるしかありませんでした。

その結果、まだここ1週間余りですが、生徒の態度に変化が見られました。3人共やる気のスイッチが入って、本気になってきたのです。

毎年思うことですが、チャレンジ高校を受験する生徒は、ごく一部の生徒を除いて、自宅で勉強する習慣がついていません。気持ちの落ち込み、あるいは体調面から、時に能力面から、勉強には少なからず抵抗感があって、勉強から逃げたい気持ちが強く働いているのだと思います。
今年は今更のように実感したことがあります。
それは、アンは作文や面接を指導しているというより、むしろコーチ役として、志願申告書や作文、面接を通してやる気と根性をつける練習に関わっているのではないかということです。


生徒のお母さんから、「作文や面接の練習をしている今から、もうチャレンジは始まっているのですね」というメールをいただきましたが、その通りだと思います。
チャレンジ高校はチャレンジする生徒を求めているのですから、入学する前から、やりたくない作文や面接も面倒くさいと思いながら、嫌だと思いながらチャレンジすることが大事だと思うのです。

もちろん、i文章がそれなりに書けたり、話が上手な生徒は何の苦労もなく、合格出来るでしょう。
それはいいことなのでしょうか。
やる気を出して本気になった生徒の顔は、さわやかで生き生きとしています。


今になってやる気が出てきた生徒たちですが、3人が全員、1日も休まずに家庭塾に通って来ていることは十分に認められることです。
また、例年のことですが、これまでのぬるま湯生活から抜け出して、やるべきことに本気で向かい始めた生徒の姿はステキで、愛おしく感じられます。
特に、かなりの緊張を強いられる志願申告書をボールペンで書き上げ、願書を提出しなければならなかったこの1週間は、生徒にとっては苦しい日々だったと思います。それでも、回数を増やして、週に2回通って来て頑張りました。
全員が家庭塾までは片道1時間~2時間かかる距離ですが、本人達から不満が出たことはありません。
また、毎回ほとんど生徒について来て授業を一緒に聞いたり、迎えに来られたりするお母さん達の努力には頭が下がります。それぞれに仕事をしておられるのに、大変さを言葉や態度に表していません。


生徒とお母さん達のそれぞれの努力が報われるように、残り2週間、アンも精一杯やりたいと思っています。


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チャレンジ高校受験から大学合格まで [受験]

つい先日、チャレンジ高校の受験から始まって、これまでずっと家庭塾に通い続けていたR子ちゃんが、ご両親と共に大学合格の挨拶に来てくれました。
評定以上の高校の成績と、小論文、面接の総合点で合格が決まる公募推薦での受験で、第一志望の大学でした。
指定校推薦の枠には入っていなかった大学で、チャレンジ高校からの受験としてはかなりハードルは高かったと思います。
4年間R子ちゃんの成長を見守り続けてきたアンにとっては、感動するくらいうれしい出来事でした。

チャレンジ高校受験のためにアンの所に通って来る生徒は、学校に通っていないこともあってか、勉強に苦手意識を持っていたり、拒否反応を示すことが殆どでしたがR子ちゃんは違いました。
通い始めた当初から学習には意欲的で、作文の練習と同時に英語の勉強もして、2か月余りの間に、中学1年の範囲はマスターしました。そういう生徒は、R子ちゃんの後にも先にもいませんでした。
チャレンジ高校の受験については、当初から9割程度の確率で合格する生徒だと思っていました。

ただ、食が細く体調を崩すこともよくあって、遠いこともありましたがお母さんが車で送って来て、授業もお母さんと一緒でなければ受けられない状態が続いていたので、合格しても通えるかという不安はありました。
一人で来ることをアンが提案した時には、不安で胸が押しつぶされそうになったようですが、それも何とか乗り切ってくれました。

高校入学後は、友人関係が原因で体調不良になり、学校を休むことも珍しくはありませんでした。
「先生、苦しいんです。どうしたらいいでしょうか」というメールを送って来たことも、今となってはなつかしい思い出です。

そんな訳で、高校の3年間は、家庭塾には勉強のためというより、心配事や悩みを話すために通って来ていたというのが実情です。
ところが、4年生になったこの4月からは受験勉強一色になりました。随分強くなったと感じられるものの、悩みや心配事がなくなったわけではないはずなのに、やると決めたらやるところR子ちゃんの素晴らしいところだと思います。
それ迄は、直前になって体調が悪くなり休んだり、スカイプになったりすることも間々あったのですが、受験直前まで、青白い顔をしていても通い切りました。

ただ、この受験については、アンには懸念がありました。
本人的には元気になっているものの、一般の受験生と比べれば弱々しい感は否めないし、欠席日数が多いこともマイナス要因になると思っていたからです。また、これ迄、自分のことに精一杯で、社会についての関心や問題意識をもって世の中を見るという経験をしてこなかったために、自分の意見がなかなか出てこないことも小論文や面接の試験では不利だと考えていました。それらの弱点を克服して、一桁台の募集定員の中に入るのは大変なことだと、アンの方が弱気になったりしていました。

具体的な学習内容としては、4月から夏休み前までは、通っていた進学塾の課題小論文の補習、及びアンが用意していた関連分野の新聞記事の解説、夏休み以降は志望書の作成と面接練習、不合格になった場合に備えての第2志望の大学へ受験前に提出する1500字程度のレポート指導でした。
RF子ちゃんにとっては進学塾の内容は難しくて役に立たない部分も多かったと思いますが、受験の際に小論文のテーマとなりそな様々な分野の文章を読む機会を得たこと、その後にアンと一緒に、教材に線を引きながら2項対立の文章の構成やポイントをつかむ練習が出来たことは良かったかと思います。

大学のオープンキャンパスにはアンも出掛けて行き、その大学や学部が目指しているもの、どんな生徒を求めているかもチェックしました。
面接の配点が一番高いので、そこに焦点を絞って、大学で何をどう勉強したいのか、将来、それを活かしてどんな仕事に就きたいのか、どのような自分になりたいかは徹底的に突き詰めていきました。
合格の確率は、夏以前では2割~3割程度、直前になって手応えは感じられるようになったものの、それでも5分5分だと思っていました。

合格出来たのは、体調の如何にかかわらず高校在学中によい成績をキープし続けたこと、やるべき課題を一つずつこなしていったこと、受験当日に全く練習していなかった小論文の課題に対してここぞという時に出る力を発揮できたこと等、R子ちゃん自身の頑張りに負うところが大きかったと思います。加えて、受験を総合的にプロデユースしたお父さんの努力、極め細やかな心遣いでR子ちゃんを陰ながら支えたお母さん、高校の先生の指導もあったかと思います。

これから高校卒業までのわずかな期間になりますが、R子ちゃんはまだ家庭塾に通って来ることになっています。一般受験の生徒に比べると英語が弱いということで、それを少しでも改善するために、心配事を話に来るのではなく、英語の勉強だけをすると言っています。
好きで続けている英語の勉強を、アンもさらに頑張らなければと思っています。


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都立チャレンジ高校の文化祭に行きましょう [受験]

都立チャレンジ高校を受験する生徒も、一般高校を受験する生徒と同じように、いよいよ本腰を入れて、受験に取り組まなければならない季節になってきました。
受験は近づいているのに、不登校や学力不振のために進学先をどこにしたらよいかと悩んでいる生徒や保護者の方、または、高校には進学したいと思いつつ、不安感の方が強くて足踏み状態でいる生徒、さらには行動に移せないわが子に焦りを感じている保護者など、様々な気持ちを抱いてこの時期を迎えられているのではないでしょうか。

不登校や学力不振の進学先としてはチャレンジ高校以外にも、通信制高校やサポート校、夕方から通う都立の定時制高校、そして私立のごく一部の高校など選択肢はあります。
肉体的にも精神的にも今の段階では受験に向かう気力が出ないという生徒はともかくとして、高校に進学したい気持ちがあり、頑張ろうという気持ちもある生徒には、都立チャレンジ高校をお勧めします。倍率がそれなりにあって、自分なりの努力をして高校に進学した方がいいと思うからです。
今は、過程より結果ばかりが求められる社会になっていると感じていますが、目標に向かって自分なりに頑張る、努力する、積み重ねていくという過程があってこそ、成功したり、未来が拓けていくのではないかと信じているからです。

前置きが長くなってしまいましたが、本題に入ります。

都立チャレンジ高校の5校のうち、稔ヶ丘高校と桐ヶ丘高校はすでに文化祭が終わってしまいましたが、六本木高校、大江戸高校、世田谷泉高校はこれからです。
それぞれの学校の特徴や雰囲気が一番よくわかるのは文化祭です。また、自分に合う高校かどうかを肌で感じることが出来るのも文化祭です。
是非、親子で出掛けてみて、生徒も保護者も気に入った点を話し合ったり、メモを取るなどして、それを志願申告書に書くようにしてください。
上記3校の文化祭の日程は以下の通りです。

六本木高校  10月31日(土)10:00~15:00
大江戸高校  10月31日(土)、11月1日(日)11:00~15:30
 (※大江戸高校は両日ともに学校説明会もあります)
世田谷泉高校 10月24日(土)10:00~15:30


文化祭が終わると、次は体験入学学校説明会があります。チャレンジ高校は選択科目が沢山あり、それぞれの学校に特色があるので、自分の興味のある科目が多い高校に行くと、勉強も楽しくなるかと思います。体験授業でそれを経験することも、志望動機に書ける内容になります。
学校説明会に行くことも必要です。
文化祭体験入学学校説明会、さらには個別面談と、高校に行く回数を増やしていくと、それだけでも高校に行きたい気持ちや、受験に向かう気持ちが強くなります。

日程については、それぞれの高校のホームページを見ればわかります。
生徒本人が自分で調べるにこしたことはありませんが、まずは保護者の方が情報を入手し、子どもの背中を軽く(殆どの場合は強くですが)押すのが、毎年、家庭塾に通って来る生徒の特徴でもあります。

※例年、この時期には募集は締め切っているのですが、今年はまだ余裕がありますので、募集は続けています。今から受験勉強を始めても十分間に合うと思っていますが、大江戸高校、六本木高校を志望する生徒、または軽度発達障害の傾向のある生徒については、かなりの努力が必要なことも予めお伝えしておきます。


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2015年度  都立チャレンジ高校受験を振り返って(2) [受験]

Eちゃんが家庭塾に通い始めたのは、9月の中旬からでした。前の記事に書いた通り、アンが考える「チャレンジ高校合格のポイント」は、①見た目、②言葉の力、③志望校に入りたいという熱意でしたが、Eちゃんは①から③まで最初からクリアしていたと思います。
そこで、Eゃん自身にも、一緒に見えたお母さんにも、「家庭塾に来なくても、今のままでも合格すると思いますよ」と、直観で思ったことをそのまま口にしました。

志願申告書、作文、面接の練習をしたわけでもないのに、初対面で少し話をしただけで、「受かる」と感じられる生徒が時にいます。
反対に①、②、③のどの条件にも満たないと感じられる生徒がいることも事実で、その場合は、アンと二人三脚でどんなに頑張っても、合格の確率が五分五分のところまでいくのが精一杯というのが実状です。

Eちゃんが合格する生徒だと感じたのは、Eちゃんの見た目の明るさや真面目さ、それと努力家だというのも関係しますが、Eちゃんの志望校がEちゃんのような生徒を求めていること、また作文の問題が難しくないことが大きな理由でした。

とはいえ、絶対に合格するとは断言出来ませんし、Eちゃん自身もEちゃんのお母さんも、チャレンジ高校受験については情報も全くないし、対応も出来ないということで、不安が大きかったようです。

Eちゃんの言葉で印象に残っているのは、「勉強には自信がある」、「努力は出来る」と言っていたことです。
不登校になると生活が不規則になって、夜更かしをして昼近くまで寝ていたり、勉強もしなくなる生徒が多いのですが、不登校になってからも遅れてしまうのはいやなので、必死で勉強を続けてきたといいます。
そして、学校に通えなくなってからも、在学していた私立の中学校で試験だけは受けて、学年でもトップクラスの成績を維持したといいます。

指導が始まってからも、余裕で受かるという感触は変わらなかったので、おしゃべりにかなりの時間を費やしていました。
Eちゃん自身にもアンに話したいことや、相談したい内容が沢山あって、それだけで授業が終わってしまうこともありました。
将来の夢や目標についても決まっていて、それを実現するためにはどのような高校生活を送ればいいか、また大学進学についても具体的な質問をよくしていました。
志願申告書や作文についても、取り組み方が前向きで、疑問点があったり、納得出来ない箇所があるとメールで質問してきたりと、受験を自分事として捉えていることが伝わってきました。

本人も自覚している欠点としては、友達から少しいやなことを言われたり、されたりすると傷ついて落ち込んだり、何かあると不安になって居ても立ってもいられなくなってしまうところでした。
それはアンにも見せていて、志望校の個別面談の時の先生の印象が良くなかった時も落ち込んでいたし、志望校の先輩の生徒にたまたま家庭塾で会った時も緊張して固まってしまったし、試験が近づくにつれて不安になり、「どうしよう、どうしよう」を連発していたのもIちゃんでした。

それでも、同じ適応教室に通っていて、別のチャレンジ高校を受ける生徒の試験対策が手つかずの状態になっているのが気になったらしく、その友達のためにアンのところから過去の作文問題や資料を持っていきました。
自分のことだけでも精一杯のはずなのに、このような行動が出来るEちゃんを、ステキだなと思いました。また、その生徒はその後、頑張って志望校に合格したそうです。

ここ3年ばかり、面接の詰めに1回だけ指導をお願いしている元中学校の先生からもEちゃんのことは太鼓判を押していただき、いよいよ合格発表の日が来ました。
大丈夫だとは思っていても、やはり試験は水物、結果がでるまでは安心出来ないのはいつものことです。
合格でした。

高校に入学してからも、これまで通り頑張って大学に進学し、将来は希望する仕事に就いとほしいと思っています。

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O君の指導開始は10月からでした。自宅からの距離の関係もあって、志望校は最初から2校に絞ってあったのですが、説明会に行って迷うことなくそのうちの1校に決めました。

志望校は、他校と同様に男子の方が受かりにくいこと、他のチャレンジ高校に比べると全体的にレベルが高いとアンが感じている学校だったので、正直に言って、別の高校を受けた方が無難な気がしていました。
O君は大人しく真面目な感じで印象も悪くなかったのですが、アンの考える「チャレンジ高校合格のポイント」と、O君の志望校に照らして考えると、③の志望校に入りたいという熱意は明確に感じられるものの、①の見た目と②の言葉の力については弱い感じがしていました。
そこでアンは、その高校を志望するなら最初はともかくとして、受験が近づいたら週に2回は来てもらわないと対応出来ないかもしれないと伝えました。

前の記事に書いたKちゃんと同様に、O君も作文は苦手とのことで、2時間の授業はきつかったようです。
けれど、O君はそれをはっきりと態度に出していて、盛んに時計を見たり、アンが横道にそれたり雑談を入れると、それを長引かせて授業時間を少なくしようとしていました。
小1時間かけて家庭塾に通って来るのも気が進まなかったようですが、休んだり遅刻したりはしませんでした。

O君には口癖がありました。
何か言うと、反射的に「ムリムリ、出来ない」と言うのです。
やる前から無理と決めつけてしまったら、自分の可能性を全部つぶしてしまうことになるから、それは言わない方がいいと注意しました。
チャレンジ高校はチャレンジする生徒を求めているはずだし、挑戦する前からあきらめてしまう生徒は、チャレンジ高校にはふさわしくない生徒だと思ったからです。
また、やって出来ないのは仕方がないとして、やる前からあきらめてしまう生徒を、アンも望んではいません。

実際のO君は、無理だと自分で思っているだけで、その気になればやれる力を持っていました。
12月に入ると作文の宿題も出すようになりましたが、「ムリムリ」と言いながら、必ずやってきていたからです。マニュアルではなく、その時々に応じて、臨機応変に考える力があったと思います。
O君のお母さんから見ると、全くやっていないように見えたらしいのですが、アンが出した他の課題についても、やってこないことはありませんでした。

回数を重ねていくにつれて、O君が大人しく、真面目なだけでなく、自分なりの意見を持っていること、自分の内側だけでなく社会にも目を向けていて批判精神もあること、他人の意見に耳を貸さない頑固なところがあることなどが分かってきました。
そういうO君の特性は、アンにとってはむしろ好ましく、O君なりの考えや主張にある時は反論し、またある時は納得させられたりしていました。

作文は苦手だと言っていましたが、言葉の力があることも途中からわかってきました。
それが必ずしも作文の力に結びつくものではないことを、今回は5人の受験生それぞれから学ばせてもらいました。話し言葉と書き言葉は違うのだと思いました。
それでも、おしゃべりだけに留まらずに、内容のある話が出来るのは言葉の力、それと能力や好奇心、感受性の問題もあるかもしれません。

1月に入ると、O君は「ムリムリ」という言葉を殆ど発しなくなり、面接練習では言葉の力をフルに発揮していました。
質問に対して即答で返ってくるので、暗記しているようで気持ちが伝わりにくいとアドバイスすると、「これからは演技力を磨きます」という、本気とも冗談ともつかない言葉が返ってきました。
自宅でもやるべきことをきちんとやっていたので、週に2回来る必要も感じられず、受験間近になって少し回数を増やす程度ですみました。

それでもやはり、合格するという保証はありませんでした。
発表当日、おかあさんから合格のメールをいただいた時には、本当に良かったと思いました。

中学で不登校だったために、基礎的な勉強が出来ていないことが気になっているO君には、高校に入学したらきちんと勉強をして、「無理」という言葉からは卒業して、「やれば出来る」という気持ちで頑張ってほしいと思います。

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Aちゃんは11月から通い始めた生徒でした。
アンが考える「チャレンジ高校合格のポイント」から見てみると、①見た目、②言葉の力、③志望校に入りたいという熱意もそれなりにクリアしているように見えました。
ただ、家庭塾に来るのが遅かったこと、志望校の作文の課題が年度によって変わる可能性があること、志望校の合格確率から考えると楽観は出来ないと思いました。
そこで、可能であれば週2回通って来ることを勧めました。

最初の面談の日に、アンと一緒に作文や面接の練習をする意思があることがきちんと伝わってきて、やる気も全面に表れていました。
苦手な作文をやることに気乗りしないのは他の受験生と同じだったと思いますが、家庭塾に通って来ること自体は楽しいと言っていました。
それでも、アンは最初から頑張る生徒にはある種の懸念を抱いていました。どこかで無理をしていて、その無理が後になって響いてくることが予想出来たからです。
Aちゃんは保健室登校だったので完全なる不登校とは言えないものの、やはり感受性は豊かだと思ったので、そのタイプの生徒が最初から頑張るのは大変だと思っていました。

アンの予想が当たったというわけではありませんが、開始月は体調が悪くなって来られない週もあったので、週に2回は無理だと思いました。
眠りたいとは思っても明け方近くまで眠れなかったり、偏頭痛があったり、朝や日中に食欲がないことも気になりました。

一方で、Aちゃんは見た目が大人っぽく、はっきりした物言いをするので、外側から見ると弱そうには見えませんでした。
けれど、実際には人前に出るのが何よりも苦手で、みんなの視線を感じるだけでも怖くなってしまうような、メンタル面は弱くて傷つきやすい女の子でした。
それを「大丈夫」だと強がっていたので、これからは、そういう自分を変えていかなければと、授業を通して気づいたようです。

読書家で、毎月本もかなり読んでいるせいか、人に対しても物事に対しても、さらには人間そのものに対しても深く考えるところがあるので、同じ年頃の友達とは話が合わないだろうと思いました。
Aちゃん自身は男の子が苦手だと言っていましたが、幼稚ですぐ悪乗りして、良い事と悪い事の区別がつかない、そういう子達と一緒の空間にいるのが耐えられないと言っていました。
それはアンにも想像がつきました。
テレビで見られるように、誰か一人をダシにして、容姿や物言いを馬鹿にしたり、からかったりしてみんなで笑いものにする心ないお笑いの世界が、教室にも浸透しているように思えるからです。
やさしくて、感受性の強い生徒は到底その雰囲気に馴染むことは出来ないでしょう。

家庭塾に来る生徒はほとんど全員と言っていいほど、やさしくて思いやりがあるのですが、Aちゃんはそれが際立っていたように思います。
強がったり、照れ屋のせいもあってか、わかりにくいのですが、人に気を使うだけのやさしさではなく、本当のやさしさが感じられました。
それは、友達や周囲の人の痛みを自分の痛みのように感じて心を痛め、自分も精一杯なのに相手のために悩んだり、心を尽くしたり出来るからです。
料理や家事が得意なことも素晴らしいことだと思っています。

さて、作文や面接の進み具合についてですが、体調面も落ち着いてきて、1月は月に6回、2月も5回通って来て、頑張りました。
けれど、志願申告書を提出する前の週は、清書を自分一人では緊張するし、集中して書けないと言って、アンの目の前でやっていたので、それに時間を取られてしまい、授業に当てられる時間が少なくなってしまいました。
それでも、もともと持っていた言葉の力を発揮して、面接練習は難なくクリアし、作文の書き方もそれなりに理解して、受験間近になると、合格をほぼ確信出来るようになりました。
結果の連絡が入るのが午後になったので、少しだけ心配になりましたが、予想通りの合格でした。

自立出来るようになるのが夢だというAちゃんには、希望通りアルバイトもやって、精神的にも強くなって夢を実現させてほしいと思います。
そして、時には人に頼ったり甘えられるようになって、そこを根っこに自立した本当の大人になってほしいと思っています。


2015年 都立チャレンジ高校受験を振り返って(1) [受験]

今年もまた、生徒たちが都立チャレンジ高校の受験でそれぞれに頑張った様子を記録として残しておきたいと思い、ブログに記すことにしました。

なお、平成27年度の都立チャレンジ高校合格者の内訳は東京都教育委員会のホームページによれば、以下のようになっています。六本木高校が例年通り、男子の合格者数は女子の三分の一ほどで、稔ヶ丘高校は男子と女子の割合がほぼ同率、他の3校は女子の合格比率が高いというのも変わらない傾向のようです。

         受検人員         合格人員           
六本木高校  男83名 女146名   男33名 女112名 計145名
大江戸高校  男143名 女140名  男57名 女89名  計146名
世田谷泉高校 男130名 女108名  男81名 女95名  計176名
稔ヶ丘高校  男140名 女136名  男101名 女104名 計205名
桐ヶ丘高校  男114名 女127名  男58名 女87名  計145名


今年、家庭塾からチャレンジ高校を受験した生徒は5人でした。志望校は六本木高校、大江戸高校、稔ヶ丘高校で、全員が不登校の生徒で、昨年度とは反対に女子が多く、男子は一人でした。
5人のうち4人がそれぞれ志望したチャレンジ高校の希望する部に合格し、1人は残念ながら合格には至りませんでしたが、事前に合格が決っていた通信制のサポート高校に進学することになっています。

例年、「チャレンジ高校の受験を振り返って」は、受験生は違っても同じことを書いている気がするので、今回は少しだけ視点を変えて、アンが考える「チャレンジ高校に合格するポイント」から一人ひとりの生徒について振り返ってみたいと思います。
(今回は受験生5人とも不登校でした。)

アンが考える「合格のポイント」は大きく分けると3つあります。

① 見た目――志願申告書、作文、面接だけで合否が決まるチャレンジ高校の試験では、受験生のやる気の有無、姿勢、態度の良し悪しが最も重要だと考えられます。内面にやる気や美点が隠されていたとしても、挙動不審に見られてしまったり、やる気がないように見えたら合格には結びつきません。
また、見た目でポイントになるのは、目が生き生きとしているかどうかだと思います。

② 言葉の力――配点の対象になる志願申告書、作文、面接すべてに必要な力です。これはうわべだけ立派なことを言ったり、上手な作文を書くための言葉ではなく、自分を見つめ、あるがままの自分を表現出来る言葉を持つということです。

アンが毎回力を入れているのはこの部分で、この力がつくと自信も生まれ、やる気も出てきて、見た目も微妙に変わっていきます。
また、この力は未来を拓いていく土台にもなるという信念がアンにはあります。

③ 志望校に入りたいという熱意――なぜ、他の高校ではなく、その高校に入りたいかの理由は明確にしておく必要があります。不登校や学力不振で他に行く高校がないからとか、親に進められたからとか、家から近いなどは理由になりません。何回も高校に足を運んで、その高校を気に入って受験してほしいと思います。



9月から家庭塾に通うようになったNちゃんが、①から③の中で一番もっていたものは、志望校に入りたいという熱意でした。合格したのは、その熱意と、真面目にやるべきことをきちんとやってきたNちゃんの頑張りが実を結んだのだと思います。
Nちゃんのお母さんも早い時期から進学先についてはいろいろ調べていたようで、4月にはすでに問い合わせをいただいていたのですが、アンの家庭の事情で9月からになったという経緯があります。

実は、Nちゃんは11月になって志望校を変更していました。何校か見学してから志望校は決めた方がいいというアンの意見に従い、気乗りしないまま出かけて行ったチャレンジ高校がすっかり気に入ってしまい、それまで行きたいと思っていた高校がすっかり色あせて見えたようです。

志望校を変更する旨をアンに伝えた時のNちゃんの生き生きした表情は忘れられません。Nちゃんは、初対面の人以外は相手の目を見て話すのが苦手とのことで、アンともなかなか目を合わせられなかったので、アンの方も打ち解けにくい感じがしていました。
それが心から行きたいと思える高校に出会った時、これまでどちらかというと伏し目がちだった目は大きく開き、輝いて見えました。

Nちゃんが変更した志望校は、アンから見るとレベルが高い感じで、作文も文章力がないと書けないような問題が出るので、受験のハードルがかなり上がったと思いました。
それをNちゃんに伝えると、簡単に受かりそうなところより、難しい方がやる気になると言い、負けず嫌いの一面を見せてくれました。
自宅では、なかなか落ち着いて勉強が出来ないと言っていたNちゃんですが、家族が寝静まった深夜に、アンが出した作文の宿題にも取り組んでいたとのことでした。
本当に行きたいと思う高校に出会ったことで、目標も定まり、もともと持っていたやる気に火がついたのだと思います。

気になったのは、睡眠が十分に取れていたり、気分がいい時には、見た目も合格点だったと思いますが、そうでない時は頭が働かなかったり、目に光が感じられないことでした。このことについては、本人にはもちろん、お母さんにもお話しして、気をつけてもらうようにしました。
言葉の力については足りなくはなかったのですが、作文にしても面接にしても、深読みして考えすぎてしまうところがあったので、完璧を目指さずに妥協することも必要だと伝えました。

Nちゃんのことで一番印象に残っているのは、志願申告書の清書を一人でやり遂げたことです。
通常アンは、生徒の志願申告書の下書きが完成するまでは誤字や脱字、表現方法など細かくチェックするのですが、ボールペンで清書し、実際に高校に提出する分についての最終チェックは保護者の方にお願いしていました。
時間的に余裕がないこともありますが、校正を一人でやると見落としてしまう部分があることを経験から知っていたからです。

ところが、Nちゃんは、自分が書いた志願申告書を親にチェックしてもらうことを拒否していました。自分の内面が書いてあるので、親には読まれたくない気持ちはわからないわけではないのですが、これまでの生徒は抵抗しつつ、結果的には親に見てもらっていました。

Nちゃんは、下書きの完成文については学校に足を運んで2人の先生にチェックしてもらっていました。先生から指摘され、自分が納得した箇所については書き直していましたが、殆どは自分が書いた文章を優先していました。
そのため、提出用の志願申告書をもう一度先生に見てもらうわけにもいかず、清書した申告書を自分一人の責任でチェックし、それを高校に提出したのです。
アンも後でそれを見ましたが、間違いは一つもありませんでした。
自分の意志を貫き通したNちゃんに対しては、「偉いね。よくやったね」と思っています。

それでも、失敗する可能性は高かったと思うし、生徒が自分と向き合い、時間をかけて書いた志願申告書を保護者の方が読むのはいいことだと思っているので、あまり真似をしてほしくないとは思っています。
そんなアンの考えとは、反対の行動を取ったTちゃんですが、そのTちゃんのことをアンは認めています。高校に入学してからも今回のように、これまでのように人の気持ちばかりを優先しないで、自分を貫く場面を増やしていってほしいです。

________________________________________

Kちゃんも、上記のNちゃんと同じ高校を受験したのですが不合格になり、通信制のサポート高校に進学することになっています。
アンの考える「合格のポイント」から見ていけば、指導開始当初は見た目、言葉の力、志望校に入りたいという熱意もクリア出来ていて、合格する生徒だと思っていました。

Kちゃん自身の言葉通り、明るく前向きで、誰とでも仲良くなれるという長所は見た目にも表れていたし、友達から相談されることがよくあったというのも、聞き上手というだけでなく、的確な言葉使いが出来ていたからだと想像できました。
アンとの会話も滑らかで、いろいろと話してくれる内容も興味深く、楽しいものでした。

志望校についても、かなり早い時期からその高校の評判を聞いていて、実際に学校説明会や文化祭に行ったりして、さらに気に入り、入りたい気持ちが強くなったようです。

ただ一つ気がかりなことと言えば、体調が悪くなってしばしば休むことでした。
それでも、これまでも、1月、2月と受験が近づくにつれて体調も安定して、休まずに通えるようになってくるので、Kちゃんについてもその方向で進んでいくだろうと思っていました。

ところが、Kちゃんの体調不良は受験直前まで続き、正月明けまでにはある程度書けるようになっているはずの作文もおぼつかない感じでした。
もともと作文は苦手とは聞いていたのですが、家庭塾に通って来る生徒は皆同じことを言うので、そのレベルだと思っていました。
ところが、これはアンの見立て違いでした。
Kちゃんは、言葉の力があるので、書き方さえわかれば書けるようになると思っていたのですが、作文となると言葉が出て来なくなり、頭が混乱してしまって、一行も書けなくなってしまうことがわかったのです。
それを解決するために、自分に合った言葉を探しながら、アンと協力し合って書き上げたテンプレートの作文を覚えてもらうことにしたのですが、それも書いているうちにわからなくなってしまうとのことでした。

上記のことに関連しますが、アンはKちゃんに悪いことをしたと思っています。
Kちゃんは、アンのところに来て、志願申告書や作文を書くのが辛かったらしいのですが、アンはそのことに気づいていませんでした。
明るく元気ではあるけれど、大丈夫ではないのに、大丈夫だと強がってしまうところがあるKちゃんの性格はわかっていたつもりなのに、授業中に「頑張ります、頑張ります」と盛んに口にしていたKちゃんの言葉をそのまま信じてしまったからです。

志願申告書や作文を書くのが辛くて、家庭塾に来たくないKちゃんの本当の気持ちがわかったのは、2月に入ってからのことでした。
それだけではなく、受験そのものにプレッシャーを感じ、出来れば逃げたいという気持ちもあったのかもしれません。
また、アンが他の生徒の進み具合と比べて、Kちゃんのことを責めているという不満もぶつけられました。
通常、他人と比べることを好まないアンだったのですが、志望校の作文課題が難しいこともあり、内心アンも焦っていて、それが態度に出てしまったのだと思います。

Kちゃんについては、他にも反省点があります。
面接の練習の時のことでした。
友達との付き合い方について質問したところ、「みんなと仲良くする」という答えが返ってきたので、「みんなと仲良くしなくても、2、3人でも仲のいい友達が出来ればいいと思うけど…」とアンが言うと、「先生は何もわかっていない。今はみんなと仲良くしなければやっていけないんだから」と泣きながら反発されました。
その時アンは初めて、Kちゃんが不登校になる前までの学校生活がどんなものであったかを理解しました。
辛くても笑顔を作らなければやっていけなかったのだと思います。
アンとの勉強も辛かったのに、それを表には出さずに、「頑張ります」と笑顔を作って、自分を励ましていたのかもしれません。

Kちゃんに限らず、今の中学生、高校生が置かれている環境は以前と比べて、大変になっていると思います。
友達と本音で話したいとか、素のままの自分を出したいという言葉は、よく生徒から聞きますが、それが難しい社会になっていると感じます。

2月に入ってからは、さらに休むことが多くなったKちゃんでしたが、お母さんも認めているように、試験直前の1週間は本当に頑張ったと思います。
他の高校にも合格していたのに、よく諦めないで通って来たと思います。
本気になって、やる気を出したのだと思います。
その気持ちを忘れずに持ち続けて、進学先の高校では、みんなと本当に仲良くなって、結果的にこの学校に入って良かったと思えるような楽しい高校生活を送ってもらいたいと思います。


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2015年度チャレンジ高校の願書提出日に寄せて [受験]

昨日2月7日の東京都教育委員会のホームページに都立チャレンジ高校の応募倍率が載っていました。

2015年度のチャレンジ高校の倍率は、六本木高校1.70倍(1.81倍)、大江戸高校2.13倍(2.30倍)、世田谷泉高校1.48倍(1.55倍)、稔ヶ丘高校1.45倍(1.35倍)、桐ヶ丘高校1.79倍(1.71倍)でした。
(    )内は去年の倍率


昨年の倍率と比較すると、特に大きな変化は見られませんが、ここ数年の傾向を見てみると、六本木高校と大江戸高校の倍率が下がって、受験生にとっては幾分ハードルが下がったように思います。それでも、六本木高校は男子の応募人員が88人、女子の応募人員が150人と、例年と同じく女子に人気が高いことがわかり、それが女子の合格率をさらに高めているようにも思えます。
他の4校については、男子より女子の方が合格率が高い印象がありましたが、その差は、縮まってきているようにも感じられます。


アンの家庭塾からは、今年は5人の生徒がチャレンジ高校を受験します。進学先を変更したり、ごく稀にですが途中で来られなくなったりする生徒も出てくるため、今回のように5人全員がチャレンジ高校を受験するのは初めてです。

適応教室や保健室登校をしている生徒もいますが、5人共、教室では授業を受けていない生徒たちです。
その生徒たちが、無理をしながら、あるいは面倒くさいと思いながら、電車に乗ったり、バスに乗ったりして時間をかけて家庭塾まで通って来ることは、大変なことだと想像しています。
これまでも体調が悪くなって休んだり、あるいは時間通りに来られない生徒もいましたが、
殆どの生徒は受験の日まで頑張って通って来ていました。

ところで、これまで家庭塾に通って来る生徒で、精神的に強い生徒は一人もいなかったと記憶しています。
人に気を使ったり、人にどう思われているかを必要以上に気にしたり、ちょっと言われただけ傷ついたりするのは、共通しているところだと思います。
それだけに、人一倍思いやりがあったり、やさしかったりします。
弱いところがあるからこそ、人の気持ちがわかって、しぜんにやさしく出来るのだと思います。

アンは自分のことを元気で明るいと思っていますが、弱いということも知っています。
弱いということが悪いことだとも思っていません。
自分が弱いことや弱みを、自分で認められたり、公言できるようになると随分楽になると思うのですが、プライドもあるし、生徒の年齢では難しいかと思います。
アンも自分の弱さや、不甲斐なさを認められるようになったのは、40代半ばを過ぎてからのことでした。

そんな生徒たちの特性をわかっているのか、チャレンジ高校の中に「勁(つよい)心を育てます」を教育理念に掲げている学校があります。

「勁い(つよい)心」がどのように育つのか、アンにはわかりません。
けれど、生徒たちを見ていて思うのは、精神的に強くなっていくためには、自ら行動したり、経験を重ねていくしかないのではないかと思えます。

それぞれの悩みや葛藤を抱えながらも、家庭塾に通って来ることを積み重ねていくだけでも力にはなると思うし、それに加えて、「志願申告書」や作文・面接を通して、自己を見つめ、それを表現する言葉を持つことも、弱い自分を認めたり、変えていく一つの契機にはなるかと思います。

そして、いつも思うことなのですが、よい結果が出れば、生徒にとってもアンにとっても一番うれしいことなのですが、たとえ思わしくない結果が出たとしても、チャレンジ高校の受験に向けて頑張ってきたことが、将来何かの役に立ってほしいという、欲張りたい気持ちもアンにはあるのです。


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